和食に定義があるとしたら、あなたなら何が必要だと思いますか?
だしキッチンまんまる主宰 河口晶です。
だしソムリエ協会に載せているコラムの2回目
【和食に定義があるとしたら、あなたなら何が必要だと思いますか?】
私はだし教室だけでなく、ひとつのカフェをシェフが日替わりで担当するシェアカフェで月に2回カフェをしています。
徳島県小松島市にある古民家カフェ 大正館なつ家で、「まんまる堂」という名でしています。
五平もちや丼がメインのランチや黒蜜だんごの甘味をお出ししています。
五平もちというと、中部地方の山間部の郷土料理。ご飯(うるち米)をつぶして串にさし、ふっくらと焼いたところに甘辛(あまから)のタレをつけて香ばしく焼きあげます。
https://www.instagram.com/p/BKng-2Cg6SM/?taken-by=manmarudo2015
夫の転勤の関係で札幌、岐阜、福岡、徳島と引っ越してきました。岐阜で出会った甘辛の味。
この甘辛の味はお醤油や味噌と砂糖・みりんが合わさってできています。タレは味噌や醤油、胡麻やクルミなどのナッツ類などを使って作り、それぞれの家庭の味があります。
徳島ではあまり馴染みのない五平もちですが、甘辛タレはズルイくらいに人を惹きつけるものがあるのですね〜笑 シミジミ感じるこの頃です。(甘いのが苦手な方はごめんなさい。)
五平もちというと、小判型がよく高速道路のサービスエリアなどで売られています。五平=御幣(小判)というのが五平もちの名前の由来という一説もあります。
五平もちの形状、実は地域によって様々で、小判型のほかにわらじ型、丸、団子、棒などあります。
私は試行錯誤の末、きりたんぽのような形にしています。最近知りましたが、きりたんぽ型の五平もちを作る地域もあるそうです。(オリジナルと思っていた私が浅はかでした…笑)
「ご飯」というのもポイントで、スルスルっといくらでも食べられます(笑)。(食べ過ぎに注意!)
ご飯は和食の基本ですよね。だしソムリエの和食の定義には4つあります。
⓵ ごはん
⓶ 味噌
⓷ 醤油
⓸ だし
この組み合わせが多いほど「和食度」が高まる、と考えられています。五平もち定食は、五平もち、お味噌汁、小鉢2品でお出ししています。そう考えると五平もち定食も和食度高いですね!
ユネスコ無形文化遺産も登録された和食。その和食が発展したポイントの一つに「豊富な水」があげられます。
ご飯を炊くこと、ひとつをとっても「お米をとぐ」(無洗米もありますが)「お水につける」がありますよね。お米を育てるのももちろんたくさんのお水が必要です。味噌も醤油もだしもお水なくしては作ることもできません。
日本のだしの特徴は「乾物」を使うところです。
昆布・かつお節・煮干し・乾しいたけ
この「乾物」をもどす時、だしが出ます。
もどすのは「おいしい水」
日本の豊かで多様な自然、そこからうまれる「おいしい水」があるからこそ、和食が生まれ発展してきたのですね。
もう一つお水の話をすると、日本のお水は軟水が多いのですが、この軟水が昆布やかつお節などのだし素材からのうまみを引き出すのに適しているそうです。また、ご飯を炊くのもカルシウムを多く含む硬水では、お米が硬めに炊きあがってしまうことから、軟水が向きます。
一方、外国に多い中硬水は肉・魚介類の煮込みやスープに適しているようで、しゃぶしゃぶなどは中硬水を使うとスープに肉の臭みが移らずおいしさが増すそうです。
いろんなお水が手に入る今、お料理によってお水を使い分けてみるのもいいですね。
普段何気なく作っている和食は、蛇口をひねるとでてくるきれいでおいしい水あってこそできる。
そんな日本の自然に感謝です。